低用量ピルをきちんと知る
低用量ピルの基礎知識
低用量ピルと聞いて、どんなことを思い浮かべますか? 「性的にだらしがない」「ホルモン剤だから不自然」…。そんなイメージは本当のことを知らないからかもしれません。ピルの基本について、まとめてみました。
 低用量ピルには2種類のホルモンが含まれています。
低用量ピルには卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモンの2種類の女性ホルモンが含まれています。エストロゲンは排卵をうながすホルモンで、美肌など女性らしさをサポートする働きがあります。黄体ホルモンはプロゲステロンともいい、子宮の内膜に働きかけて、受精、妊娠の準備をするホルモンです。「低」用量ピルはエストロゲンの含有量が50μg以下のものを指します。
 ひとくちに低用量ピルといっても、いろんな種類があります。
2006年現在、日本で発売されている低用量ピルは含有する黄体ホルモンによって大きく3種類に分けられます。まず、1960年代に開発されたノルエチステロンを使った第1世代。レボノルゲストレルを使った第2世代、そして80年代に開発されたデソゲストレルを使った第3世代です。
また、第1世代、第2世代のピルはさらにホルモンの配合比によって2種類に分けられます。ひとつは一相性といって、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモンの量が服用周期の間、一定量で変わらないもの。もうひとつは三相性といい、ホルモンの配合比が1周期の中で3段階に変化していくものです。どのピルが良いの?というと、こればかりは個人がもともと持っているホルモンバランスや体質によって異なります。1剤だけではなく、いろいろと試しながら自分にぴったりのピルを見つけてください。
ホルモン配合パターンのイラスト
 排卵を抑えることで、妊娠を防ぎます。
女性のからだは毎月、排卵、受精・妊娠の準備、月経を繰り返しています。その周期をコントロールしているのは、脳下垂体と呼ばれる脳の中枢から分泌される性腺刺激ホルモンです。通常はこのホルモンが卵巣を刺激して排卵が起こるのですが、低用量ピルを飲んでいると脳下垂体が「からだの中には十分女性ホルモンがある」と判断して性腺刺激ホルモンの分泌を抑えます。その結果、卵巣がお休みして排卵が抑えられるわけです。当然、受精・妊娠はありえませんね。
そのほかにも子宮内膜に働きかけて、受精卵を着床しにくくしたり、子宮頸管(しきゅうけいかん)の粘膜を変質させて精子が入り込まないようにする作用があります。
低用量ピル(OC)で避妊ができる仕組み
OCで避妊ができる仕組のイラスト
 避妊の成功率は、ほぼ100%です。
低用量ピルは望まない妊娠を避けるための薬です。正しく服用した場合の避妊失敗率(妊娠率)はわずかに0.3%とほぼ完璧! 時々飲み忘れたりした場合でも8%です。コンドームによる避妊法での失敗率は2〜15%、オギノ式など排卵日を避けてセックスをするリズム法では9〜25%が失敗してしまうという研究報告がありますから、かなり確実な避妊方法であることがおわかりでしょう。
パートナーとの素敵なセックスの後、次の月経が始まるまで不安な毎日を送った経験がある女性はたくさんいるはず。そんな辛い思いを避けるためにも低用量ピルを試してみませんか。
各種避妊法使用開始1年間の失敗率(妊娠率)
日本産婦人科学会編「低用量経口避妊薬の使用に関するガイドライン」より抜粋
避妊法 理想的な使用(%) 一般的な使用(%) 継続率(1年間)(%)
低用量ピル 0.3 8 68
コンドーム 2 15 53
ペッサリー※ 6 16 57
薬物添加IUD※ 0.1〜0.6 0.1〜0.8 78〜81
リズム法※ 1〜9 25 51
避妊せず 85 85  
理想的な使用:選んだ避妊方法を正しく続けて使用している場合
一般的な使用:飲み忘れを含め一般的に使用している場合
※ペッサリー:子宮口にゴム製のキャップを挿入・装着し、精子の侵入を防ぐ方法
※薬物添加IUD:子宮内にプラスチック製器具(ホルモン剤や銅が添加)を挿入し、受精卵が子宮内膜に着床するのを防ぐ方法
※リズム法:基礎体温を測定し排卵期を知り、避妊の目安とする方法
 マイナー・トラブルと重大な副作用のこと。
低用量ピルの服用始めには吐き気や頭痛、不正出血、めまい、乳房の張りといった「マイナー・トラブル」と呼ばれる軽度の副作用があります。またイライラや気分の落ち込みを経験することもあるでしょう。これらのトラブルはエストロゲンや黄体ホルモンのバランスが変化したことによるもので、2〜3カ月で自然に治まります。3シート目が終わってもトラブルが続くようであれば、服用中の低用量ピルが体質に合わないことが考えられます。医師に相談してみてください。
血栓症に要注意
低用量ピルの重大な副作用として、注意をするべきものに「血栓症」があります。血栓とは血管の中でできる血液の塊のことで、本来止血の働きがあります。しかし動脈硬化などの要因で血管壁がボロボロになっていると、血栓は溶解せずにそのまま血液の流れを止めてしまいます。また、ある場所でできた血栓がはがれて脳血管や心血管に運ばれ、その場所の血液の流れを止めてしまい脳梗塞や心筋梗塞の原因になることもあります。血栓症の既往や家族歴がある場合は、初診時に血液凝固系の検査を受ける、医師に相談するなど、十分な注意が必要です。
 女性が主体的に選択できる避妊方法です。
女性は「産むことができる」性です。自分のライフスタイルに合わせて、「産む」「産まない」を選択する権利に加えて、きちんと育てるという責任を負っているといえるでしょう。だからこそ、パートナーだけに頼らず、妊娠、出産を考える必要があります。
ポピュラーな避妊法には、コンドームのほか、IUD(子宮内避妊器具)やペッサリーを子宮内に入れる方法があります。IUDは低用量ピルに次いで避妊効果が高いのですが、医師の指導のもとで挿入する必要があること、不正性器出血や過多月経が見られることなどから、あまり人気がないようです。その点、低用量ピルは女性が自分の意志で「飲む」「飲まない」を選択できる、確実でからだへの負担が少ない避妊方法です。

構成・文/井手ゆきえ

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