統合失調症[とうごうしつちようしよう]

統合失調症、この病気は精神分裂病と呼ばれていました。そして、精神分裂病という病名は、本来「思考」と「感情」の分離とかなり心理学的な意味に由来するものでした。しかし、一般の方々には「分裂」という言葉から、「何か訳のわからない事態・状態」と考えられる危険性もありました。そのこともあってまず家族の団体から病名を変更するよう要望があり、2002(平成14)年に精神科医師の学会で統合失調症と変更されました。

陽性症状と陰性症状とに分けられる

陽性症状とは、外に現れるはでな症状とでもいえましょうか。そして、陰性症状とは、それと逆に閉じこもりの症状ともいえます。ひとりの患者さんに、その両方の症状があることも多くあります。陽性症状としては、誤った知覚、例えば周囲の人には聞こえていない声が聞こえる(幻聴)、誤った確信、例えば人からいじめられる(被害妄想)、興奮、じっとして動かない(昏迷[こんめい])などがあります。陰性症状としては、なんとなくだらしなくなった、感情が以前ほど豊かでなくなったなどがあります。

家族の方が相談に来て、訴えられるものとしては、「最近夜眠らない、夜昼逆転している」「生活が不規則になった」「閉じこもって家族と口を利くことが少ない」「ひとり笑い、ひとり言がある」「つじつまの合わないことを口にする」などが多いようです。

しかし最近の傾向として、統合失調症の軽症化ということがいわれています。つまり、興奮などの激しい症状を示す人が減り、今述べたような症状を訴えて自分から外来に来る人が増加しています。

経過はどうか


最近の傾向は軽症化へ向かっている

最近では、短期間で病気の経過を判断するのでは不十分で、長期間にわたって病気の経過を追いつづけなければだめではないかといわれています。長期の経過を追ってみますと、むしろ「不治」といわれた考えとは違った結果が示されています。

一例を示しましょう。図19―11を見てください。これはマンフレッド・ブロイラーというドイツの精神科医が、1941年に統合失調症の長期経過を調査したものです。のちに再度調査をした結果、(1)(2)のタイプはほとんどみられなくなり、(4)〜(7)のタイプが増加したとしています。しかし一方で、ある程度の症状や障害を残す人がいるのも事実です。

治療やリハビリテーション


統合失調症の治療は、内科の病気などと違って、治療のための器械などほとんどありません。

そこで、治療やリハビリテーションにあたる人や環境が重要になります(表19―4)。

(吉住 昭)