心身症[しんしんしよう]

心身症は身体疾患

1991年、日本心身医学会が改定した心身症の定義によりますと、心身症とは「身体疾患の中で、その発症と経過に心理社会的因子(ストレッサー)が密接に関与し、器質的ないし機能的障害が認められる病態」とされています。そして、身体症状を訴える神経症や、うつ病(いわゆる仮面うつ病)などの精神疾患は除外するということになっています。

すなわち、心身症とは、内科や小児科、産婦人科など一般診療科でそれぞれの科の対象疾患として病名がつけられて診療されている身体疾患の中にみられる症例なのです。そして心身症と診断された症例は、従来の薬物療法だけでは治りうる疾患であっても難治化しやすく、その発症や経過に重要な役割を演じている心理社会的因子に対して適切な心身両面からの治療を行わなければ、治癒したり再発を予防することが困難になります。

心身両面の治療を進める


まずは身体症状に対応した適切な対処療法を行って、身体的苦痛・消失をはかります。それから、その心身症としての身体的疾患の発症と経過に関与している心理社会的因子に対する治療を進めます。

その際、その治療がうまくいくかどうかは、患者と治療者の間に信頼関係ができているかどうかによって大きく左右されることになります。

心理社会的因子に対する治療法

現在、保険診療で認められている心身医学的療法には、一般心理療法、自律訓練法、行動療法、バイオフィードバック療法、交流分析療法、簡易精神分析、ゲシュタルト療法、森田療法、生体エネルギー療法、絶食療法など12種類の治療法が認められています。

これらの心理療法を、それによって治療しようとする関与因子の違いによって分けると次のようになります。

(1)その身体疾患の発症と経過に関与している心理社会的因子そのものを減らし、あるいは除く方法。例えば環境の調整、家族療法など。

(2)心理社会的因子によって生じているストレス状態(からだの防御力、あるいは治癒力が低下した状態)からの回復を促す方法。例えば、自律訓練法、漸進的筋弛緩法、ヨーガ療法、温泉療法、音楽療法など。

(3)心理社会的因子への気づきを促し、必ずしも適正とはいえない受け止め方(認知の仕方)を修正する方法。例えば交流分析療法、精神分析的精神療法、ゲシュタルト療法、内観療法など。

(4)その心理社会的因子の受け止め方(認知の仕方)の修正に従って、それまでの不適切なあるいは過剰な適応行動を、より適切なものに修正する方法。例えば行動療法、交流分析療法、精神分析的精神療法など。

一般的には、心身症としての身体疾患の発症機序・病態に応じて、適切な薬物療法とこれらの心理療法のいずれかを組み合わせた心身両面からの治療が行われます(図19―3)。

(吾郷晋浩)