角膜ヘルペス

単純ヘルペスウイルス*が角膜に感染して起こります。ほとんどの場合、ウイルス感染症では、あるウイルスに一度感染すると、からだの中にウイルスに対する抗体ができて、同じウイルスには2度はかかりにくくなります。けれど、ヘルペスウイルスの仲間では、症状がなくなった後も、からだの中の神経の根元などに潜んでいて、何かのきっかけでウイルスがまた元気になって病気を起こすことがあります。それを再発といいます。

単純ヘルペスウイルス

ヘルペスウイルスは、はじめ、子どものころに、家族などの唇や皮膚にできたヘルペスの皮疹〈ひしん〉からうつります。そのときは口内炎や結膜炎などで、症状が軽くほとんどの場合、気がつかないほどです。ほとんどの人は10〜20代で、このようなかたちで感染しますが、その後角膜ヘルペスとして再発を起こす人は約10%です。

樹枝状角膜炎[じゆしじようかくまくえん]

角膜ヘルペスの代表的な所見は、樹枝状角膜炎と呼ばれる枝分かれのある特徴的な潰瘍[かいよう]で、この潰瘍の部位には、ヘルペスウイルスがいます。ウイルスが角膜上皮細胞の中で増え、隣の細胞へ感染していった結果このようなかたちになります。角膜ヘルペスは両目に起こることはまれで、どちらかの目に再発をくり返します。今のところ再発を予防することはできませんが、かぜをひいたり、熱を出したり、ストレスなどで再発しやすいようです。

日本では、寒い時期や季節の変わりめに再発する人が多いので、日ごろから体調をととのえたり、ストレスをコントロールすることが大切です。

症状としては、片方の目の異物感や黒目の周りの充血、視力低下(物が見えにくい、まぶしい)などが起こります。

ヘルペスウイルスには有効な抗ウイルス薬があります。樹枝状角膜炎の診断を受けた場合は、アシクロビル眼軟膏[がんなんこう]を1日5回つけていれば2週間くらいでよくなります。

実質型角膜ヘルペス

このほかに角膜の実質が濁ってくる実質型角膜ヘルペスがあります。樹枝状角膜炎に比べ、視力がとても落ちることがあります。抗ウイルス薬と消炎薬を用いて治療しますが、視力の改善には数カ月かかります。なかには、角膜に瘢痕[はんこん]が残り視力が落ちたままになることもあります。