更年期障害

症状は、ほてり、発汗、頭痛など

更年期障害の症状は表15―2に挙げてあるようにきわめて多岐にわたります。しかし、もっとも多いのは、ほてりや発汗、肩こりや頭痛、イライラやゆううつといった卵巣機能低下(女性ホルモンの減少)によるものや、自律神経失調による症状です。しかし、前述したように、これらの症状は個人によって現れ方や強さはまったく異なります。

通常は数年で消失していく

更年期障害は、ほぼ半数の女性に現れるといわれています。のぼせや発汗などの症状はちょっとしたきっかけで起こり、数日間つづき、1〜2カ月休んでまた起こります。しかし、間隔はしだいに長くなり、発作の期間はだんだん短くなるのが普通です。

閉経期から老年期に入ってホルモンが安定し、また間脳にある自律神経の中枢や、心理面でも安定することにより、通常は数年で更年期障害は消失していきます。このように、更年期障害は45歳ころから始まり55〜56歳ころまでの間に現れる不定愁訴[ふていしゆうそ]を主とした諸症状を指します。

治療の基本は卵胞[らんぽう]ホルモン薬の補充

更年期障害が性機能の低下により起こることから、治療は卵胞ホルモン(エストロゲン)の補充が主となります。特に発汗、ほてり、顔面紅潮などの血管運動神経系の障害や、性器出血や性交障害などの内分泌器系障害[ないぶんぴつきけいしようがい]に対しては、ホルモン補充療法(HRT)がよく効きます(図15―15)。

HRTにはいろいろな方法がありますが、子宮がある方の場合には子宮体がん発症予防のため卵胞ホルモンと黄体[おうたい]ホルモンの同時併用療法がよく用いられます。子宮がない女性では卵胞ホルモンのみで大丈夫です。最近HRTは乳がんの発生頻度を上昇させるという報告が欧米でありましたが、この上昇頻度はごくわずかであり、定期的に乳房検診などを受けていればほとんど問題はありません。ほかの障害はともかく、発汗や性交障害などの卵胞ホルモン低下による不快な症状を改善できるのはHRT以外にはありません。そこで、適宜HRTを中止して症状が消失しているかどうかを確認しながら、必要最小限のHRTを受けるとよいでしょう。そうすれば副作用の心配はありません。

精神安定薬や漢方薬も使われる

このほか、精神安定薬や抗不安薬といった精神神経用薬剤もよく用いられます。また最近は漢方薬もよく使われています。さらにホルモン薬とこれらの薬剤との併用療法を受けるのもよいでしょう。

十分な睡眠とバランスのよい食事を

更年期障害はある程度、生理的ともいえますが、できれば軽くすませたいものです。そのためには規則正しい生活をすること、栄養のバランスがとれた食事、特にカルシウムやビタミン類をよくとること、十分な睡眠をとること、運動をすること、気分転換となるような趣味や娯楽をもつこと(時には夫婦で旅行や観劇したりする)、物事にこだわらず、くよくよと考えないことです。そうすれば更年期障害を早くまた軽く乗り越えることができるでしょう。

(田辺清男)