トリコモナス腟炎(腟トリコモナス症)

頻度が高く難治性のものもある

トリコモナス原虫の感染により起こるもので、腟の感染症のうちでも頻度の高いものです(表15―1)。女性の50%は一度は感染するといわれます。

症状は、黄緑色か薄い膿性[のうせい]のおりものが増え、しばしば腟や大小陰唇[だいしよういんしん]のかゆみや痛みを伴います。また、腟壁や子宮頸部[しきゆうけいぶ]が赤く腫れ、性交痛や軽度の出血がみられることもあります。もし、この感染が尿道にまで広がると尿道炎や膀胱炎[ぼうこうえん]を起こすこともあります。感染が卵管にまで及ぶと不妊症の原因にもなります。

トリコモナス原虫の感染は、主として性行為によって起こりますが、ぬれたタオルや湿った布、トイレのシートなどからも感染することがあります。成熟女性では頻度の高い疾患で、難治性のものもみられます。それは、トリコモナス原虫が配偶者の尿路、性器にも侵入し、これが再感染、再発の源となるからです(男性は一般に無症状です)。

再発予防のために配偶者も一緒に治療

治療は、普通、抗トリコモナス薬を7〜10日間服用します。さらに治療の効果を上げるために10〜14日間あわせて腟内[ちつない]へ坐薬[ざやく]を挿入します。

妊婦がトリコモナス原虫に感染しても、胎児に影響があったり、出産のとき新生児にうつることはありません。妊婦の場合の治療は、経口薬の服用は避け、腟坐薬の挿入のみが行われます。

治療に際しては、性的接触で感染するので、配偶者も経口薬を服用することが再発の予防上大切です。性行為での感染を心配される場合はコンドームを使用することもよいでしょう。また、家族への感染予防のためには、下着などの洗濯を別にすることも必要です。