子宮位置異常

子宮が一定範囲内以上を越えて移動しないのは、子宮を下方から支える支持装置と、子宮をつり上げている懸垂装置のはたらきがあるからです。子宮支持装置としては骨盤底にある筋肉群と、筋膜、隔膜の緊張力があり、子宮懸垂装置には基靱帯[きじんたい]、仙骨子宮靱帯[せんこつしきゆうじんたい]、膀胱子宮靱帯[ぼうこうしきゆうじんたい]、子宮広靱帯[しきゆうこうじんたい]、子宮円靱帯[しきゆうえんじんたい]があります。

このような子宮を保持している装置がゆるんだり、子宮が周囲組織と癒着[ゆちやく]を生じたりすると、子宮の位置や形態異常が起こります。

子宮後屈


正常子宮では、子宮体部(子宮体軸)は子宮頸部[しきゆうけいぶ](子宮頸軸)に対し90〜120度恥骨[ちこつ]の方向に、すなわち前方へ屈曲(子宮前屈)しています。

このような正常の場合とは逆に、子宮体部が頸部に対し直腸、肛門の方向へ屈曲しているものを子宮後屈[しきゆうこうくつ]といいます。

一方、子宮頸部が腟の縦軸方向より直腸、肛門の方向(後方)に傾いているものを子宮後傾[しきゆうこうけい]といいます。子宮後屈の場合は、ほとんどが子宮後傾が同時にみられます。

癒着[ゆちやく]したときだけ治療する

子宮後屈、子宮後傾後屈は以前は病的異常で不妊症、習慣性流産、腰痛症などの原因と考えられ、子宮の位置を矯正する手術も行われてきました。しかし、現在は子宮内膜症や付属器炎などの原因によって癒着し、癒着性後傾後屈になったもののみ、その原因の治療が必要と考えられています。したがって、子宮周囲の炎症疾患にかかったときは、できるだけ早く十分な治療を受けるべきです。