子宮頸管炎[しきゆうけいかんえん]

経産婦の60%にみられる

子宮頸管炎とは、頸管粘膜の炎症です。単独で起こることはまれで、多くの場合腟炎[ちつえん]などから上行感染で広がります。子宮頸管は腟を介して外界と直接通じていることや、分娩[ぶんべん]や人工妊娠中絶時に頸管損傷を生じやすいこと、また感染に比較的弱い子宮腟部[しきゆうちつぶ]びらんが頸管の入り口に存在することなどから、腟と同様に女性性器の中でもっとも感染を受けやすいところです。そのため50%以上の女性は子宮頸管炎にかかった経験をもっているといわれ、特に出産したことのある女性の場合では60%以上に認められるといわれています。

起炎菌として、従来は淋菌[りんきん]によるものが多かったのですが、最近では連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌などの腟に存在する菌(腟内常在菌)と、性行為により感染するクラミジアによるものが多くなってきています。

慢性化すると不妊になることも

特にクラミジアの感染による頸管炎は、比較的自覚症状が少ないことや、ピル(経口避妊薬)や避妊リングの普及、性の自由化と関連して、日本を含めた先進諸国で隠れた大流行があるといわれており、慢性化すると不妊症になりやすいことなどもあり、大きな問題とされています。

慢性化するとネバネバの帯下[たいげ]がつづく

頸管炎[けいかんえん]は経過により急性と慢性に分けられます。急性の場合には、子宮頸管部の入り口に細菌感染が起こると、頸管腺[けいかんせん]*からの粘液分泌[ねんえきぶんぴつ]が増量し、しばしば膿性[のうせい]の帯下がみられます。

急性で炎症が激しい場合には周囲にも炎症が及んで下腹部痛や腰痛、発熱を伴うこともあります。急性の経過をとる代表的なものには淋菌性頸管炎[りんきんせいけいかんえん]があります。

慢性の場合には炎症の持続的刺激により頸管腺の分泌が増し、頸管腺の組織も増殖し、子宮頸部も肥大してきます。そのため、ネバネバした濃い黄白色の帯下ががんこにつづきます。時に慢性的に、炎症が周囲に及んで腰痛や性交痛を生ずることもあります。

頸管腺

頸管腺は、粘液を分泌することによって腟からの細菌の感染を防いでいます。しかし、排卵期の頸管粘液は、はしごの役割をなして精子の貫通性をよくするはたらきをしています。