子宮腟部[しきゆうちつぶ]びらん

成熟期の女性の約半数にみられる

びらん(いわゆる「ただれ」)というのは、本来は、組織の上皮が欠損した状態をいいます。しかし、通常、子宮腟部びらんと呼んでいるのは、子宮腟部の表面が重層扁平上皮[じゆうそうへんぺいじようひ](皮膚と同じ多層の細胞からなる)の代わりに、1層の細胞からなる円柱上皮[えんちゆうじようひ](頸管上皮[けいかんじようひ])によっておおわれ、そのため下の組織が赤く透けて見える部分をいいます。また、上皮が欠損している真性びらんに対し偽びらんとも呼ばれています。子宮腟部びらんの頻度は女性ホルモンの消長に伴って変わることが知られています。

小児期や閉経期ではほとんどみられませんが、女性ホルモンの分泌[ぶんぴつ]の盛んな思春期、成熟期の女性には高率にみられるようになります。成熟期の女性でおよそ40〜50%にみられるとの報告があります。

ほとんどは生理的な変化

図15―10に示したように、腟腔[ちつくう]に露出している1層の円柱上皮の部分、すなわち子宮腟部びらんを肉眼的に見ると、周囲の重層扁平上皮の部分と違い、血管網が透視できるため周囲に比べ赤く見えます。これは生理的な状態なので病気ではありません。そのため、ほとんどの人は無症状で、治療の必要はありません。