子宮筋腫[しきゆうきんしゆ]

30〜50歳に多い

子宮筋腫は子宮の筋肉(平滑筋[へいかつきん])にできる良性の腫瘍で、球形でこぶのようにかたい腫瘍です。その95%が子宮の体部に発生し、残りの約5%が頸部[けいぶ]に発生するといわれています。また、子宮筋腫は、その発生部位、発育する方向により、図15―8のように分けることができます。

筋腫は婦人科を訪れる女性の5〜10%に認められ、35歳以上の女性では約20%にみられることが知られています。年代的には40代にもっとも多く、ほとんどの場合30〜50歳に発見されます。

子宮筋腫は思春期前の若い女性に発症することはほとんどありませんし、閉経後には退縮して小さくなります。これは筋腫の発育に女性ホルモンが強く関係しているからです。そのため、卵巣からの女性ホルモンの分泌[ぶんぴつ]の多い成熟期の女性は筋腫が大きくなることが多いのです。そして、卵巣からの女性ホルモンの分泌が止まる閉経後では、子宮の縮小に伴い筋腫も小さくなっていきます。

できる場所によって症状が異なる

筋腫のおもな症状は、月経の量が多くなる、月経期間の延長、頻発月経[ひんぱつげつけい]、月経痛などの月経異常と不正出血です。そのため貧血になることがあります。ほかに筋腫が周囲の臓器を圧迫するための症状が認められることもあります。しかし子宮筋腫があるからといっても症状があるとは限りません。子宮がんの検診などの際に偶然発見されることもしばしばあります。

症状の種類や程度は、筋腫の大きさや発生部位、発育する方向などによって異なってきます(図15―8)。

月経以外の不正出血に注意

注意したいのは月経時以外の不正出血(子宮出血)を伴うときには子宮体がんや子宮肉腫[しきゆうにくしゆ]の場合もあることです。そのため、必ず子宮内膜の細胞や組織の検査を受けておくことが大切です。また、月経痛が認められる場合では、しばしば、子宮内膜症、子宮腺筋症[しきゆうせんきんしよう]が同時に存在することもあります。筋腫が周囲と癒着[ゆちやく]している場合などでは卵巣腫瘍[らんそうしゆよう]などと区別がつきにくいものもあります。

手術は筋腫[きんしゆ]がこぶし大以上

治療を要する子宮筋腫は、大きさがこぶし大以上のとき、周囲の臓器を圧迫して下腹部痛、そのほかの症状を引き起こしたとき、過多月経、不正出血などの出血傾向が強くてしだいに貧血がひどくなる場合、鎮痛薬が効かないような強い月経痛がある場合、筋腫が不妊や習慣性流産、早産の原因になると考えられるときなどです。

子宮全摘術か筋腫[きんしゅ]核出術か

治療法としては、まず手術がありますが、基本的な子宮筋腫の手術法*は子宮全摘術です。しかし、筋腫が不妊の原因となっている場合や若い女性、子どもを希望する人では、筋腫核出術が適切な手術と考えられます。全身状態、筋腫の数や大きさ、発生部位などを考慮したうえで手術法が選択されます。したがって、本人が筋腫核出術を希望しても、子宮を摘出しなくてはならないこともあります。

子宮筋腫の手術法

子宮筋腫の手術法は、子宮を全部摘出してしまう子宮全摘術と、子宮から筋腫のみを摘出する筋腫核出術、子宮の体部だけを摘出する子宮腟上部切断術があります。

子宮筋腫を腟のほうからとり出す手術は、腟が広がりやすい経産婦で、子宮および卵巣卵管が腹膜炎などでほかの臓器に癒着していないこと、さらに筋腫がこぶし大以上に大きくなっていない場合に行えますが、最近は腹腔鏡を併用し、癒着などがある症例でも腟からとり出すことが安全にできるようになってきました。

偽閉経療法が有効な場合もある

現在では、偽閉経療法といって薬物を使って半年間ほど月経を止め、子宮筋腫[しきゆうきんしゆ]を小さくする治療も行われています。治療中は月経時の症状で苦しむこともなく、筋腫も小さくなり、有効な方法ですが、長期間の外来通院、骨粗鬆症[こつそしようしよう]、更年期障害のような副作用、さらには薬剤を中止し、卵巣機能が再開すると、筋腫がまた大きくなってしまうという問題点もあります。したがって閉経間近な人や手術前の人(大きな筋腫を小さくし安全に手術する)には有効な方法と考えられます。

さらに近年、UAE(子宮動脈塞栓法[しきゆうどうみやくそくせんほう])といって、子宮へいく血管に栓をすることによって子宮筋腫を小さくする治療を行っている施設もあります。