卵巣嚢腫[らんそうのうしゅ]

卵巣の腫瘍


からだの臓器の中でも卵巣にはいろいろの種類の腫瘍ができ、その発生頻度も高いことが知られています。

卵巣の腫瘍は

(1)水様性やゼリー状などの内容を含んだ嚢胞性[のうほうせい]の腫瘍

(2)こぶのようにかたい充実性の腫瘍

に大きく分けることができます。わが国では嚢胞性の腫瘍が5に対して、充実性の腫瘍は1の割合で、一般に充実性腫瘍は悪性の頻度が高いといわれています。嚢胞性腫瘍では約95%が良性に経過するとされ、この良性の嚢胞性腫瘍を一般に卵巣嚢腫と呼んでいます。

卵巣嚢腫[らんそうのうしゆ]は良性の腫瘍

卵巣嚢腫の好発年齢は30〜40歳で、ほかの腫瘍に比べて大きくなる傾向が強い腫瘍のひとつです。

卵巣嚢腫の共通した病態は、卵巣が大きくなることです。しかし、できはじめのころは、嚢腫が周囲と癒着[ゆちやく]するなどの特殊な発育をしない限り、まったく無症状です。ある程度まで大きくなって初めて下腹部の膨隆[ぼうりゆう]や違和感、下腹部にしこりを触れる、あるいは時々出現する軽い下腹部痛などの症状が出てきます。

茎捻転[けいねんてん]を起こすと手術が必要

しかし、卵巣嚢腫[らんそうのうしゆ]がねじれたり(茎捻転)、破裂したり、あるいは感染などを起こした場合は、突然激しい下腹部痛や悪心[おしん]、嘔吐[おうと]、時には発熱などの症状が出現します。そのようなときには救急車で病院へ運ばれて緊急の手術が必要となることもよくあります。

茎捻転を起こしやすい卵巣嚢腫は周囲と癒着しておらず、比較的小さく、可動性のあるものに多く、一般に良性の腫瘍[しゆよう]に多いことが知られています。

捻転は、激しい運動や体位を変えたときなどに起こりやすく、また、妊娠期間中では、妊娠中期と分娩時や産褥期[さんじよくき]に起こりやすいことが知られています。この場合には手術が必要です。

7cm以上のものになると手術

卵巣嚢腫[らんそうのうしゆ]の治療は手術が原則です。一般に嚢腫の大きさが7cm以上あると手術の対象となります。手術法は年齢、子どもを希望するかどうか、腫瘍[しゆよう]の大きさ、癒着[ゆちやく]の程度などによって決まります。また、近年腹腔鏡[ふくくうきよう]を用いた内視鏡下の手術も行われています。

おもな術式は図15―6に示すようになります。