妊娠と腎臓病

妊娠すると、母体の腎臓には負担がかかります。腎臓を流れる血液の量も、糸球体における濾過率[ろかりつ]も30〜50%増えます。これは妊娠5カ月ごろに最高となって、分娩時までつづきます。

このように腎臓は、急成長する胎児のために増加する循環血液量や心臓の送り出す血液量にこたえて、仕事を増やします。腎臓の大きさも約1cmほど大きくなります。

妊娠時には健常人でも水分やナトリウムが貯留する傾向や、妊娠初期には起立性たんぱく尿をみることがあります。しかし、妊娠後半になって多量のたんぱく尿が出たり、むくみがみられたら、次に述べる妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)です。

妊娠高血圧症候群


妊娠中にむくみ、高度のたんぱく尿、高血圧の3大症状が現れた場合には、妊娠高血圧症候群(妊娠中毒症)の疑いが強くなります。

原因は明らかになっていない

子宮や胎盤への血流不足、胎盤を含む免疫学的な変化、血液凝固系の異常など、いろいろ考えられていますが、まだはっきりしたことはわかっていません。しかし、妊娠しなければ起こりませんし、分娩後には症状は消えてしまいます。

家族性素因もあるようで、母親や姉妹が妊娠高血圧症候群にかかったことのある女性は、そうでない女性に比べて明らかに頻度が増します。

最近、妊娠高血圧症候群にかかる人が増えており、ごく軽症のものまで含めると約10%の妊婦にみられます。これは共働きなど、母体への負担が多くなったのも一因と思われます。

妊娠高血圧症候群を放っておくと、高血圧やたんぱく尿がひどくなり、むくみも全身に広がります。

対処法と予防上の注意

軽症の場合でも、できるだけ安静を守るようにします。こころの安静も大切です。

食事の内容は、たんぱく質、ビタミン類を多くとりますが、エネルギーと食塩をとりすぎないようにします。ただし、腎機能障害[じんきのうしようがい]が強いような場合には、たんぱく質の制限も必要です。

予防するには、妊娠したらなるべく過労を避け、睡眠を十分にとり、食事は薄味にします。また、定期的に検尿や血圧の測定も受けます。

体重の測定も重要で、毎週500g以上体重が増えた場合には要注意です。