神経痛

痛み(感覚)を感じるのも末梢神経の大事な機能のひとつです。はっきりした原因がわからないので、感覚神経に沿って痛む場合、一般に「神経痛」という呼び方がされます。

三叉神経痛


よく見られる神経痛のうちのひとつです。三叉[さんさ]神経は顔面の感覚神経ですから、痛みも顔面に出ます(図9―16)。顔面の痛みを俗に顔面神経痛というのは誤りです。顔面神経は、顔面筋肉の運動をつかさどるのがおもな機能です。

中年過ぎの女性に多く、鋭い痛みが三叉神経枝の支配領域のひとつ、またはそれ以上の部位に限って片側性に突然起こります。電気が走ったとか、針で刺したとか形容されるような痛みで、これが1秒〜2分間つづきます。会話、洗顔、歯磨き、喫煙などにより誘発されることもあります。

治療は、特効薬(抗けいれん薬)とされるものがあり、これはかなりよく効きます。しかし、それでは治らないこともあり、血管と神経とが触れないように、間にクッションを入れる手術が行われることがあります。

神経痛性筋萎縮症


肩、背中、腕などに鋭い神経痛のような痛みが出現し、それとともに筋肉の萎縮[いしゆく]が起きてきます。頸椎[けいつい]の病気などと混同されることも多いのですが、まったく違う病気です。副腎皮質ホルモンが有効ですが、治療が遅れると萎縮から機能障害が起きてくるので、早めの診断が大切です。

坐骨神経痛


脊髄[せきずい]神経の代表的な神経痛で、英国のシェークスピアの戯曲*にも登場してくるほど古くからよく知られている病気です。

シェークスピアの戯曲

『アセンズのタイモン』に「汝〈なんじ〉、冷酷な坐骨神経痛よ」と書かれています。

原因は大部分が腰椎椎間板[ようついついかんばん]ヘルニア

坐骨神経痛[ざこつしんけいつう]の原因の大部分は腰椎の椎間板ヘルニアといわれています。坐骨神経の神経根がヘルニアに触れ、腰を動かすたびに刺激を受けて痛みが起こります。

しかし、ヘルニアなど、はっきりしたもとの病気がみつからず、なお原因のわからないものもあります。

からだを動かしたとき、特に脚を曲げたとき、お尻から大腿[だいたい]、下腿の裏側にかけて鋭い痛みが走ります。こうして下肢の裏側に症状が出るのが特徴です。坐骨神経(図9―17)は腰椎から下方の感覚をつかさどる大きな末梢神経で、この支配領域に沿って痛みが出ます。腰痛を伴うことも多く、症状が強いと痛みで歩けなくなるほどです。

整形外科での治療が必要

鎮痛薬である程度は痛みをやわらげることができますが、胃を壊すほど飲んでしまうことにもなりかねません。椎間板ヘルニアが原因のときは、やはり整形外科で治療をする必要があります。軽い場合は、温浴などの物理療法で十分なこともあります。

痛みが起こったときの家庭での対処法としては、あお向けに寝て、安静を心がけることが何よりも大事です。

肋間神経痛


古くからよく聞く名前ですが、坐骨神経痛[ざこつしんけいつう]ほどはっきりした原因はわかっていません。

肋間[ろつかん]神経は、胸髄[きようずい]から出て胸腹部に分布する感覚神経です。肋間神経が脊椎[せきつい]から出るところで骨に触れたりしている場合が多く、坐骨神経痛の場合と同じように神経が圧迫、刺激されて痛みが起こると考えられます。

背中から胸にかけて、からだの周囲を回るように鋭い痛みが走ります。瞬間的なこともありますが、くり返すこともあり、からだの動きに誘発されて起こることが多いものです。痛みは、からだの表面をピピッと走るように感じます。

痛みのあるときは安静にして楽な姿勢をとります。

また、炎症のあるときは薬(貼り薬)を使ったり、物理療法(温浴)をすることも効果があります。