神経芽腫[しんけいがしゆ](神経芽細胞腫[しんけいがさいぼうしゆ])

白血病に次いで多い小児のがん

神経芽腫は副腎[ふくじん]や交感神経節に発生する腫瘍です。小児悪性腫瘍としては白血病に次いで多く、その大部分は5歳以下の乳幼児に発生します。

まれに5歳を過ぎて発症することや、生まれたばかりの赤ちゃんに発見されることもあります。

副腎と交感神経節は胎児期の神経堤[しんけいてい]と呼ばれる共通の組織から発生するため、神経堤由来の細胞が神経芽腫の発生母地と考えられています。腹部の神経芽腫ではおなかにしこりを触れることが多く、そのほか、転移による多彩な症状を呈します(写真8―9)。

治療と治療成績


【乳児期(1歳未満)の神経芽腫】

乳児期に診断される神経芽腫の多くは悪性度が低く、手術や抗がん薬による化学療法などで95%を超える生存率が得られています。したがって、治療はいずれも必要最小限の内容で、治療後に後遺症を残さないよう注意がはらわれます。特に乳児期早期の神経芽腫では腫瘍が自然に退縮する(小さくなる)性質があり、腫瘍の圧迫による呼吸障害や肝や腎[じん]の障害に対する治療が優先されます。

ただし、乳児期の神経芽腫でも骨や遠隔リンパ節などに転移している場合やがん遺伝子MYCNの増幅のある場合がわずかながら認められます。そのような腫瘍では悪性度が高く、より強力な治療が必要となります。

【1歳以降の神経芽腫】

1歳以降に発症する神経芽腫では腫瘍が大きく切除不能であったり、診断時にすでに骨やリンパ節などに遠隔転移を認める場合が全体の75%を超え、またMYCNの増幅した腫瘍も30%に認められます。これらの腫瘍では手術、化学療法、放射線療法、造血幹細胞移植(骨髄移植や末梢血幹細胞移植)などを組み合わせた積極的な治療が行われます。

しかし、遠隔転移を伴った場合には5年を超える生存率は30%程度で治療成績はいまだに不良です。最近、わが国でも予後不良な神経芽腫に対して臨床試験を行い、有効な治療法を開発する検討が始まっています(表8―8)。

一般に進行した神経芽腫では治療が長期に及び、患児や家族の身体的、精神的負担が大きくなります。そのため医師、看護師、薬剤師、栄養士、ソーシャルワーカーなどの医療チームによる治療が重要と考えられています。

(池田 均)