便秘

大便が長い間、腸管内(大腸)にとどまり、便中の水分が減少してかたくなり、排便に困難を伴う状態を便秘といいます。

便秘であるということを決めるには2つの要素が必要です。まず排便回数は普通1日1回から2回ですが、2日に1回や3日に1回でも、本人がなんともなければ便秘とはいいません。しかし、3日を超えて排便がなかったら、便秘と呼ぶのが一般的なようです。

もうひとつは本人の感じ方の問題で、2日に1回の排便があっても、いわゆる排便困難(なかなか便が出なかったり、便が残ったように感じる)があれば便秘ということになるわけです。

わかりやすくいえば、1〜3日に1回以上の排便があり、かつ排便困難がなければ正常で、それ以外が便秘であると考えればよいでしょう。

便秘の分類


便秘は原因によって大きく2つに分類されます。すなわち、腸のはたらきの異常によって起こる機能性便秘と、なんらかの器質的病気があって生じる器質性便秘です(図5―15)。

機能性便秘

弛緩性便秘[しかんせいべんぴ]、けいれん性便秘、直腸性便秘などがあります。しかし、はっきりと分けられないことも多く、2つの要素が重なって起こる便秘もあります。

【弛緩性便秘】

腸管全体が弛緩、拡張し、運動と緊張の低下のため腸内容物の通過が遅く、そのため太くてかたい便が出ます。腹痛や苦痛は少なく、あっても強くありません。高齢者、多産婦、食事量の少ない人、下剤を連用している人にみられます。胃潰瘍[いかいよう]や高血圧の薬が原因となって起こる場合もあります。

【けいれん性便秘】

腸管の緊張が高まり、腸内容物の推進力を伴わない異常運動がみられる場合の便秘です。比較的若い年代にみられます。小さくてかたい、コロコロした便が少量排泄されるだけで、排便後に便がまだ残っているような感じがあります。主として、過敏性腸症候群にみられ、下痢と便秘が交互にくり返される交替性便通異常として現れることもあります。また腹痛は排便前が多く、排便後には軽快するのが特徴です。

【直腸性便秘】

もっとも多いものです。直腸壁の排便反射の障害が原因で、便が直腸に達しても便意が起こらず、長く停滞するものです。便は太く分割便となりやすくなります。習慣性便秘とか単純性便秘ともいわれ、時間や仕事の都合、旅行などにより排便を抑えていたりしたときや、排便痛を伴うような肛門の病気(痔)でもみられます。直腸のかたい便が排泄されると、その奥からむしろやわらかい便が一挙に排泄されることもあります(コルク排便)。

薬の副作用で起こる便秘もあります。つまり、痛み止めとして麻薬、抗がん剤をはじめとする薬剤服用で便秘になることもあります。こういった薬の使用に伴う便秘の場合、毎日下剤を飲んだり、量を調節しながら排便のコントロールをしていくことが必要になります。

器質性便秘

腸に器質的な病気があって、そのための通過障害で起こる便秘です。もっとも心配なのは大腸がん(結腸がん、直腸がん)によるものです。急に便秘になったり、便秘が急にひどくなる、便に血液がつく、便が細くなるなどの症状には十分気をつけてください。このほか腹部手術(婦人科の手術も含む)を受けた人では、癒着が原因の便秘がみられます。