高血圧症

高血圧とは


高血圧とは、収縮期血圧と拡張期血圧の双方、あるいはいずれかの血圧が一定以上高い場合をいいます。

高血圧の血圧値の基準は、しばしばガイドラインで示され、世界共通に用いられています。

無症状が高血圧の特徴

高血圧では一般に自覚症状はない場合が多く、健康診断や病気で病院に行ったとき、たまたま血圧をはかって発見されるというのが普通です。症状が現れやすいのは、血圧が高くなり始めた初期です。

おもなものは、頭痛、頭重感[ずじゆうかん]、めまい、耳鳴り、肩こり、手足のしびれ(以上、脳神経症状)、動悸[どうき]、脈の乱れ、心臓部の圧迫感(以上、循環器症状)などです。

これらの症状はある程度の期間、高血圧が持続すると、むしろ軽減するか、消失することが多いといえます。

ところが、血圧の治療を受けずに放っておくと、高血圧が引き金となっていろいろな重大な病気が起こってきます。例えば、いつもの血圧値より大幅にしかも急激に血圧が上昇し、激しい頭痛、めまい、耳鳴り、吐き気、嘔吐[おうと]などに見舞われることがあります。これは高血圧性脳症といわれるもので、血圧は200mmHgを超えていることも少なくありません。

いつはかっても高いときを高血圧という

血圧は寒暖、季節、精神・情動、肉体活動などの変化によって容易に揺れ動きます。そのため、高血圧と診断するには「いつ血圧をはかっても高い」ことを証明する必要があります。医師は、初めて来院した患者さんが、たとえ高血圧の範囲に入る血圧値を示したとしても、すぐには降圧薬は出しません。

日を変えて何回か血圧を測定し、いつも拡張期血圧が90mmHg以上、あるいは収縮期血圧が140mmHg以上であることを高血圧の診断目安としています。

以前は、おおよそ70歳以上のお年寄りでは収縮期血圧に関してはその基準値を多少高めに設定していましたが、現在では年齢にかかわらず、収縮期血圧は140mmHg以上を高血圧としています。

高血圧の合併症


脳、心臓、腎臓などに怖い合併症を起こす

血圧の高い状態をそのまま放置すると、脳や心臓の合併症を起こし、この合併症によって死亡する頻度が高くなります。

日本人の死亡原因の第1位は悪性腫瘍(がんなど)ですが、第2位は心筋梗塞[しんきんこうそく]や狭心症などの心臓病、第3位は脳出血や脳梗塞[のうこうそく]などの脳血管障害です。そして、この第2位と第3位の病気はいずれも、その原因に高血圧が大きく関与しているのです(図4―2)。

また、高血圧が長くつづくと腎臓の細い動脈に動脈硬化が起こって腎臓の機能が失われ、人工腎臓や腎臓移植を必要とすることもあります。動脈硬化は眼底の細動脈にも出現し、眼底出血を起こして突然目が見えなくなることも少なくありません。

高血圧の治療の基本


生活習慣改善と薬物療法の2本立て

高血圧治療の基本はまず薬に頼らない生活習慣の改善が重要です。これだけで治療効果の上がらない場合に初めて降圧薬を使います。

生活習慣改善とは

(1)食塩摂取の制限や肥満の解消など食事療法

(2)ストレスの軽減や適度の運動など日常生活の改善

(3)禁煙や深酒の禁止など、嗜好物[しこうぶつ]の摂取の改善

などを行います。

以上の療法を1カ月以上行ってもなお血圧値が高い場合に、降圧薬が処方されます。しかし、降圧薬を内服しているからといって、生活習慣改善をないがしろにしてはいけません。高血圧治療はあくまで日常生活の改善と食事療法であり、その効果を高めるために行われるのが、薬物療法です。患者さんと高血圧との戦いは短期決戦ではなく、長い長い戦いです。その戦いに勝つか負けるかは、患者さん自身の生活態度にかかっているといっても過言ではありません。高血圧患者の治療にあたっては将来の心血管や腎臓の障害発生に対し、その時点での危険度を評価します(表4―3)。その危険度の高低によって治療計画を立てます(図4―3)。