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海外旅行から帰国後耳閉感がとれない…

航空中耳炎イメージ 63歳・男性です。先日、約1カ月のヨーロッパ旅行から帰ってきて以来、耳閉感があったので耳鼻科を受診しました。治療を始めてから三週間くらい経ちますが、鼓膜の内側がゴリゴリする感じが消えません。これまでも何度か海外には行っていますが、こんなことははじめてです。原因や症状、治療法について教えてください。

長旅の疲れで鼻粘膜や耳管周囲が腫れた可能性も

航空中耳炎がもっとも考えられる疾患です。
音を聴くためには鼓膜の振動が内耳のセンサーに伝わらなければなりません。鼓膜の内外で気圧が違うと鼓膜はうまく振動しません。航空中耳炎というのは鼓膜の内外での圧調節がうまくいかないために鼓膜がスムーズに振動せず耳閉感が生じます。したがって飛行機が上昇するときと下降するときに引きおこされます。一般に下降時のほうが発症しやすいといわれています。
耳管での気圧調節がうまくいかなかったときに発症
スキューバダイビングをする人は、まず「耳抜き」といって中耳圧の調節をする訓練をするのですが、なかなかうまくできない人もいます。このような人は航空中耳炎にもなりやすいということになります。鼓膜の内外の調圧は耳管をとおして行われます。耳管は通常は閉じていますが、唾液を飲み込んだときに瞬間的に開きます。したがって調圧するためには唾液を飲み込む行為をすればよいわけですが、うまくいかないときはバルサルバ法といって鼻をつまんで唾液を飲む行為をするとより大きな圧力がかかり耳管が開きます。

このような方法を行っても調圧がうまくいかない場合は鼓膜が上昇時には膨隆し、下降時には陥没するので激しい耳痛に襲われます。航空中耳炎をおこした人の耳を検査しますと、しばしば鼓膜に出血した跡が認められ、いかに強く鼓膜が引っぱられたかがわかります。 ではどのような人が航空中耳炎になるのでしょう。先程述べましたように調圧は耳管を介して行われます。したがって気圧の変化があるにもかかわらず、耳管が開かない人に発症します。まず考えられるのは耳管狭窄症の人です。この疾患は地上でも耳管の開きが悪いため鼓膜が陥凹し、悪化すると中耳に滲出液がたまり滲出性中耳炎になります。

もし、その疾患のある人が飛行機に乗るとかなりの頻度でトラブルが発生することが予想されます。 地上にあっては問題のない人でも急激な気圧変化に順応できない場合も航空中耳炎になります。つまり耳管が狭いが急な気圧変化でなければ問題のない人です。かぜをひいたとき、鼻アレルギーのある人、前の晩夜更かしをしてアルコールを多飲した人などです。このような人は鼻咽腔粘膜が腫れぎみになっており、耳管も腫れて狭くなっていることが多いので要注意です。予防策として、上昇中下降中にチューインガムを噛んで唾液をだすようにするのもよいでしょう。さらに鼻アレルギーのときに使用する局所ステロイドの点鼻も効果があります。
腫れた耳管を正常にもどすため投薬や鼓膜切開を行う
相談者は過去に何回も飛行機に乗っているのに、今回にかぎって発症しているのだと思います。一か月のヨーロッパ旅行は体力的にだいぶ過酷です。かぜぎみでなくても、鼻粘膜は少し腫れぎみだったのかもしれません。飛行機の中は乾燥しており、長時間のフライトのあと鼻咽腔に炎症が生じ、耳管周囲も腫れて、飛行機の下降時にトラブルが発症したのかもしれません。
治療は、早く腫れた耳管を正常にもどすことです。消炎剤や抗ヒスタミン薬の服用でよくならなければ、鼓膜切開をしたほうが早く治るでしょう。
獨協医科大学越谷病院 耳鼻咽喉科教授 渡辺建介
(出典 : 保健同人社 「暮しと健康 2005年11月号」)
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63歳・男性です。先日、約1カ月のヨーロッパ旅行から帰ってきて以来、耳閉感があったので耳鼻科を受診しました。治療を始めてから三週間くらい経ちますが、鼓膜の内側がゴリゴリする感じが消えません。