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お酒を飲むと顔が赤くなりはずかしい…

顔が赤イメージ 32歳の女性です。仕事のつきあいなどでよくお酒を飲む機会があります。でも、私はお酒は苦手で1口で顔が赤くなります。たくさん飲んでも顔色が変わらない人、顔色は変わらないのに1杯で酔っぱらう人など、人によって反応が違うことが不思議です。この違いの秘密について教えてください。また、自分だけがあまりに赤くてはずかしいのですが、お酒を飲んでも赤くならない方法があれば教えてください。

失活型のフラッシャーのため顔の赤みはやむを得ない。

飲酒により顔が赤くなることをフラッシング、赤くなる人をフラッシャー、赤くならない人をノンフラッシャーと呼びます。フラッシングの症状は、赤くなる、頬や耳たぶに熱を感じ、頻脈と動悸をともない、ときに頭痛、発汗、めまい、眠けなどを訴えます。フラッシャーにも1杯少量の飲酒で必ずフラッシンングをおこす人から、赤くなるのが必発ではなく、相当飲んでから遅れて現れるか、現れても軽度で、ほかの症状をともなわない人まで差があります。

フラッシングは、アルコールではなく、アルコールが分解されてできるアセトアルデヒドの毒性によっておこります。アセトアルデヒドの分解能力が低い人はフラッシングをおこしやすいのです。分解能力は各個人の酵素活性(分解を助ける酵素の能力の高低)により決まります。

アセトアルデヒドを分解する酵素はアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)と呼ばれ、いくつかの種類があります。そのなかの1つ、ALDH2の酵素活性に個人差が非常に大きいこと、酵素活性は遺伝的に決まっていることがわかっています。ALDH2をつくる遺伝子には、酒に強い、いわゆる分解能力が高いとされるN型と、突然変異で分解能力が低下したD型があります。誰でも両親からいずれか1つずつを受け継ぐので、人間にはNN型、ND型、DD型の3パターンあることになります。NN型(活性型)はアセトアルデヒドの分解が速く、たくさん飲める酒豪タイプ、ND型(不活性型)は弱いタイプです。そしてDD型(失活型)は、体質的にアルコールを受けつけない、下戸タイプです。
自分の遺伝型はアルコールパッチテストという簡単なテストで知ることができます。エタノール(アルコール)をしみこませた絆創膏を腕の内側に貼り、7分経過後に剥がし、さらに10分後の反応を観察します。剥がした跡が白ければ活性型、赤ければ不活性型です。

お酒を飲んだときの症状で見分ける方法もあります。相当の量を飲まないとフラッシングがおこらないなら活性型、コップ1杯程度のビールですぐにフラッシングがおこるが、がまんして飲み続けられるなら不活性型、フラッシングがひどくて、それ以上飲めない人は失活型の可能性が高いです。

さてご質問にあるような「たくさん飲んでも顔色が変わらない人」は、活性型でノンフラッシャー、「顔色は変わらないのに1杯で酔っぱらう人」は失活型だけどノンフラッシャーの可能性が高いです。相談者は失活型のフラッシャーですね。この場合、相談者が「お酒を飲んでも赤くならない方法」は残念ながらありません。
そこで、相談者のような、失活型(フラッシャー)の方々へのアドバイスを最後にさせていただきます。
  1. 無理しながら飲酒する必要があるのか再考する。
    失活型が飲めないのは先天性障害の一種です。はずかしいと思う必要はありません。アセトアルデヒドはあらゆる臓器への毒性があります。失活型の人にとっては、飲酒は毒物を体内にとり入れていることだと肝に銘じておくべきです。
  2. 飲めない体質であることを宣言し、飲ませないようにお願いする。
    日本人の場合、活性型は半分しかいないので、内心飲みたくないと思っている人は多いものです。職場で「私は飲めません」と宣言すると、「実は私も」と続く人はいるものです。セクシャルハラスメントならぬ「アルコールハラスメント」という言葉があります。断っても、強要する人に対しては、「それはアルコールハラスメントという人権侵害」だとはっきり伝えるのがよいでしょう。
  3. 酒席でのすごし方を工夫。
    職場での歓送迎会など必要なつきあいの酒席では、飲まないぶん、昼間の食事を控えめにしてたくさん食べる、カラオケで率先して歌う、場を盛り上げるなどの工夫をされることをおすすめします。
東京アルコール医療総合センター精神保健指定医 垣渕洋一(かきぶち・よういち)
(出典 : 保健同人社 「暮しと健康 2004年10月号」)
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32歳の女性です。仕事のつきあいなどでよくお酒を飲む機会があります。でも、私はお酒は苦手で1口で顔が赤くなります。たくさん飲んでも顔色が変わらない人、顔色は変わらないのに1杯で酔っぱらう人など、人によって反応が違うことが不思議です。