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8カ月の入院生活と、今も定期的に検査に行っているという経験から、「いい病院選び」について教えてください。 |
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私は、「患者」という概念が嫌いなんです。「わずらったもの」という意味じゃないですか。病院は、「わずらった人々」が集まるところじゃなくて、「病気を治すサポートをするところ」だと考えています。 医療だってサービスだから、「わずらった者たちに、治療をしてあげよう」という姿勢ではなく、病気を治したいと真剣に考えている人たちの声を聞いて欲しいですね。例えば、待ち時間にしても、1時間も2時間も名前も呼ばれず、状況も知らされずにいたら、誰だって不安になるでしょう? それなら掲示板に、30分毎に、「今××番の人が診察中です」などと書いてくれるだけで、安心するんです。 私の主治医の先生は、長時間患者を待たせていると、途中で待合室に来て、「お待たせして申し訳ありません。私も一生懸命やりますので、もうしばらくお待ち下さい」と頭を下げられる。こんな心遣いが、患者にとってはうれしいのです。「先生、あんまり一生懸命急がないで! 私の診察時間が短くなっても困るから」なんて冗談も出てきたりしてね(笑)。 |
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「いい病院選び」に参考にすることは? |
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いい病院を探すのではなく、自分でいい病院、いい医師との関係を作り上げていくことが大事。みんなが「いい病院だ!」って殺到したら、人手不足でサービスの悪い病院になってしまいます(笑)。それよりも、患者が自分にして欲しい医療サービスについて、しっかりと意見を持っておくべきですね。それは決して、医学用語を勉強することでもないし、医学の知識を身に付けることでもない。逆に、医師の専門領域に入り込んではいけません。自分がどう生きたいか、自分の大切なものは何かということを、医師に理解してもらう努力が大切です。 |
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樋口さんが病院に行く前に行っていたことは? |
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う〜ん、病院に行く前ではないんだけど、本当に我慢できないぐらいの痛みが続き私は骨への転移という不安が募り、「何とかこの痛みを医師に伝えよう」と、待合室で書いたメモがこれです。簡潔な文章と、自己流ですが、痛みのグラフを作って先生に見せたら、「よくわかります。多分あなたの心配するような痛みではないでしょう」と診断してくれました。それ以降、同様のメモを書いて、診察の時に先生に渡しています。 |
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<樋口さん自筆のメモ> 「痛くて不安でどうしようもない、でも先生、どうしても生きたいんだ」こんな気持ちが待合室で私にこのメモを書かせたんでしょうね。 |
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樋口さんが回復されて一番うれしかったことは何ですか? |
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電車に乗れたこと、喫茶店に入れたこと、街を歩けること…そんな「普通のことが普通にできるうれしさ」を、毎日ありがたく思いながら、今は生きています。がんという病気で肺の一部や全身の感覚がなくなり、走ることや仕事をバリバリこなすこともできなくなりました。失ったものもたくさんありますが、家族の大切さと、そして当たり前の日常の大切さを知ったことで、私の人生はさらに豊かになりました。 |
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(C)文藝春秋(無断転載/コピー禁止) 妻はいつも私の傍らで、二人分の人生を背負って歩いてくれる。感謝してもしきれない。 |
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『いのちの落語』(文藝春秋/1550円)
命の大切さと、命への執着を持ち続けることが、
生きる上で重要であることを教えてくれる貴重な一冊。
著者の創作落語「病院日記」のCD付き。 |
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| 構成・文/宇山恵子 |