アレルギー性鼻炎

くしゃみ、鼻水、目のかゆみ

アレルギー性鼻炎は、鼻[び]アレルギーとも呼ばれます。症状は、たてつづけに起こるくしゃみ発作、ひきつづいて起こる多量の鼻水、鼻づまりです。ほかに目のかゆみ、流涙、頭痛、嗅覚[きゆうかく]障害などを伴うことがあります。人によってくしゃみが特にひどい、鼻水あるいは鼻づまりがひどいなどの違いがありますが、この3つの症状がそろえば、アレルギー性鼻炎であるといって間違いありません。

決まった季節のみに発作が起こる季節性アレルギー性鼻炎と、季節には関係なく一年中起こる非季節性あるいは通年性アレルギー性鼻炎とがあります。いずれの場合も発作中の症状は同じです。

アレルギー性鼻炎の原因


【ハウスダスト】

アレルゲン*(抗原)として最近は、花粉が多くなっていますが、やはりいちばん多いのがハウスダスト(室内塵[しつないじん])です。一年中を通して症状が起こる通年性アレルギー性鼻炎の原因として、もっとも重要なものはこのハウスダストです。ハウスダストとは、寝具、敷物、衣類などから出てきた塵[ちり]やほこりで、綿、絹、羊毛、化学繊維のほか、人やペットのふけや垢[あか]、羽毛、ダニ、カビ、細菌などきわめて雑多なものが含まれています。この中でもっとも重要なアレルゲンは、家のほこりの中で成育しているダニ*です。

アレルゲン

ある物質をからだに受けると、血清中にその物質に対する反応物質(抗体)が産生されます。この抗体を産生させる物質がアレルゲンです。アレルギー性鼻炎などのアレルゲンは、一般的には、ハウスダストが60%、花粉類が30%、カビ類とそのほかが10%の割合で原因となっています。特に子どもの場合はハウスダストが80〜90%を占めます。そのほか、ごく特殊なものにイヌ、ネコなどの動物の毛やふけ、絹、そばがら、パンヤなど、また職業に関係したほこりなどもあります。

ダニ

人間のふけや、塵〈ちり〉の中で繁殖するチリダニの一種でヒョウヒダニと呼ばれるものです。肉眼で見えるか見えないかほどの0.1〜0.2mmの大きさです。このダニの虫体のかけらや排泄物〈はいせつぶつ〉が、抗原性(すなわちからだの中に入ると抗体をつくらせる刺激となる性質)をもっています。

【花粉】

季節性アレルギー性鼻炎のアレルゲンのおもなものは花粉で、開花期に飛散する花粉を吸って起こります。花粉の接触が原因で起こるアレルギー性疾患を、通称「花粉症」と呼びます。代表的なのはブタクサとスギで、これらの花粉の大きさは普通0.02mm以上ですから、花粉が鼻から吸入されると、そのほとんどが鼻の粘膜に付着して、気管支まで入ることはあまりありません。そのため花粉アレルギーでは、鼻炎を起こしても、気管支ぜんそくを起こすことは少ないのです。

ブタクサは8〜9月、スギは3〜4月に開花します。特に最近スギ花粉が原因で起こるものが非常に増えています。ところが最近、この悪名高いスギやブタクサ以外の花粉症も多いことがわかってきました。極端にいうと真冬を除いてほぼ一年中、アレルギー性鼻炎の原因となる花粉がただよっているのです。実際に春先にスギ花粉症*に始まって晩秋までダラダラとうっとうしいくしゃみ、鼻水、鼻づまりに悩まされている患者さんもいるのです(図18―15、18―16)。

スギ花粉症

スギ花粉症は函館付近を除いた北海道以外の本州、四国、九州にみられ、なかでも東日本に多くみられます。昭和54年に関東地方を中心に大流行し、その後ほぼ3年周期で多く発生しています。

【食物アレルギー】

これらの吸入性の抗原のほかに食べ物によるアレルギーも原因となることがあります。おもな抗原には牛乳、鶏卵、大豆、そばなどが挙げられます。

食物アレルギーでは、鼻炎の単独症状を示すことは少なく、皮膚症状や呼吸困難、ぜんそくなどの症状に合併することが多いようです。

アレルギー性鼻炎の治療


まず大事なのは、発病の原因となるアレルゲンを取り除くことです。そして、アレルゲンに慣れ、接触しても発作を起こさないようにする方法、体質をある程度変える方法も行われます。

減感作療法

アレルゲンがはっきりわかっている場合に、少量のアレルゲンを頻回に注射してだんだんその量を増やし、ついには多量のアレルゲンに接触しても発作を起こさなくする方法です。この治療法は特異的減感作療法[とくいてきげんかんさりようほう]と呼ばれます。ハウスダスト、花粉などとアレルゲンがはっきりわかっていても、それを完全に除去することができない場合に用います。

対症療法

薬物を直接鼻の中に噴霧したり点鼻する局所療法と、内服あるいは注射による全身的療法があります。

【点鼻療法】

点鼻療法には、アドレナリン系薬剤や副腎皮質ホルモン薬などが用いられます。

アドレナリン系薬剤を点鼻すると鼻の粘膜の腫れがひきますが、その効果は30分ほどしかつづきません。そこでアドレナリンより作用時間の長いものがつくられ市販されています。1日2〜3回の使用では鼻づまりはなくなりますが、あまり頻回に用いると副作用のために反対に鼻づまりがひどくなることもあるので注意が必要です。副腎皮質ホルモン薬も、鼻にスプレーするものが開発されています。副作用が少なく効果も非常によいものです。いずれも、医師の指示のもとに使うようにします。

【内服療法】

内服療法としては、抗ヒスタミン薬、副腎皮質ホルモン薬がかなり有効です。これらを内服すれば症状はほとんどなくなりますが、つづけていると副作用が出ることがあります。薬は医師に指示された服用方法をきちんと守りましょう。

手術療法

手術は、がんこな鼻づまりの改善を目的に行われます。下甲介[げこうかい]凝固法(薬物焼灼法[しようしやくほう]、電気凝固法、凍結凝固法、レーザー手術)、下甲介粘膜切除術、鼻腔[びくう]形態整復術などがあります。

外来通院のみで可能なものもありますが、1週間程度の入院が必要なものもあります。手術療法は、減感作療法や、薬物による治療と組み合わせて行われます。

抗アレルギー薬


アレルギー疾患の治療薬は、その症状を抑える薬(対症療法薬)とアレルギーの発現を抑える薬とに分けられます。対症療法薬としては従来から抗ヒスタミン薬がおもに用いられてきました。

作用は、内服をつづけることによってアレルギーを起こしやすい状態をしだいに改善するはたらきがあります。内服を始めてからはアレルギー症状がなくなった、もしくは軽くなった、回数が減ったなどの効果が期待されます。気管支ぜんそく、アトピー性皮膚炎、じんましん、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎などに処方されます。