口内炎[こうないえん]

口内炎には、粘膜が赤くなってしみる程度のものから、水疱[すいほう]や潰瘍[かいよう]ができたりしてしまうものまでいろいろあります。その症状として代表的なものは、痛みやいやなにおい、しみること、味覚障害、出血などです。その原因には、いろいろなことが考えられています。口腔の病気の中でもっとも多いものです。

一般の細菌によるものは外傷がない限りまれです。梅毒、結核などの一症状として口内炎が出ることもあります。結核はほとんどみられなくなりましたが、梅毒性口内炎は少し増えているようです。

カビによる口内炎は、成人では要注意

カビ(真菌)によるものは時々あります。カンジダというカビが原因の子どもの鵞口瘡[がこうそう]などが有名です(写真16―1)。カンジダ自体は、口腔内の常在菌で、健康な人ならなんら問題ありませんが、時に病気の原因となることがあります。カンジダによる口内炎は痛みはほとんどなく、口の中に白いぶつぶつがたくさんできます。子どもでは放置してもほとんど治りますが、成人では要注意です。糖尿病やがんなどでからだの抵抗力が低下しているときになりやすいからです。最近ではエイズの人はほとんどこの病気にかかっているといわれています。

すぐ医師(内科、耳鼻咽喉科、皮膚科)の診察を受けてください。ベテランの医師は診ただけでほとんどわかります。一部をこすりとって顕微鏡で見ることもします。もとになる病気の発見のための検査を同時に行います。

治療は、基礎疾患がなければ、抗真菌薬のアムホテリシンBやミコナゾールゲル経口用の塗布や、うがいでほとんど治ります。ただし、慢性化して粘膜の深いところに病変が及ぶと、注射や内服治療が必要になり、かつ治りにくくなりますので早く治療することです。

ウイルスによる口内炎は小児に多い

大部分は小児の時期に起こるものですが、単純ヘルペスウイルス性の口内炎(写真16―2)や麻疹[ましん]、風疹[ふうしん]、水痘[すいとう]、ヘルパンギーナなどの口内炎です。特にヘルペスは、子どもに多く発症し、発熱や痛み、流涎[りゆうぜん]、摂食不能、顎下[がくか]リンパ節腫脹などをきたし、脱水のため重症感があります。しかし、専門医(小児科)に輸液してもらえば、2〜3日程度でよくなるでしょう。重症ではアシクロビルの投与を行うことがあります。

成人でもウイルスによる口内炎はありますが、手足口病[てあしくちびよう]や帯状疱疹ウイルス、伝染性単核症[でんせんせいたんかくしよう](20歳前後)などがほとんどです。最近では性感染症のひとつである単純疱疹(単純ヘルペス)が増えています。口唇、口腔、咽頭、外性器に水疱[すいほう]やびらんが認められます。疼痛[とうつう]を伴い、摂食障害があります。帯状疱疹は多くの場合、顔面の三叉神経[さんさしんけい]領域の皮膚病変を伴っています。強い痛みを訴えます。伝染性単核症は扁桃[へんとう]、咽頭[いんとう]や頸部[けいぶ]リンパ節におもな病変(腫れ)があり、肝障害を伴います。これらは入院治療の対象になりますが、ほとんど致命的ではありません。

もっとも多いのは再発性アフタ

もっとも多い口内炎は、再発性アフタと呼ばれる白い米粒大の浅い潰瘍性[かいようせい]病変がひとつか2つぐらい生じるものです。アフタ性口内炎ともいいます(写真16―3)。辺縁にはっきりした赤い輪を伴っており痛みがあります。原因としては、ウイルスの感染や細菌の繁殖、薬害、血流障害、ストレスなど種々の原因が考えられていますが不明のものが大部分です。神経質な人にできやすいといわれています。しばしば再発し、一年中どこかにできているという人もいます。致命的な病気ではありませんが厄介なものです。