急性肝炎

ウイルス肝炎には急性と慢性があります。急性肝炎とは、初めて肝炎ウイルスに感染して発病した場合をいいます。

発病しても治癒しやすく、抗体ができる一過性感染です。

わが国で多いA型・B型・C型肝炎

肝臓の病気のうち、比較的頻度の高いものです。これは肝臓に親和性の強い(取り込まれやすい)肝炎ウイルスの感染によって発病する病気です。感染経路は、A型肝炎やE型肝炎のようにウイルスに汚染された水や食べ物から経口感染するものと、B型肝炎やC型肝炎のように患者さんの血液や分泌物を介して非経口的に感染するものがあります。急性肝炎各型の占める比率は、A型肝炎の発症例が年度により大きく異なるために著しく変動します。国立病院機構長崎医療センターによる日本国内の国立病院、療養所専用情報ネットワーク「肝ネット」を利用した肝疾患共同研究のデータによれば、急性肝炎各型の比率は、A型肝炎30.5%、B型肝炎34.4%、C型肝炎13.3%、それ以外の肝炎(非A非B非C型肝炎)21.9%となっています。

【D型肝炎】

D型肝炎ウイルスはB型肝炎ウイルス感染者にのみ感染するというちょっと変わった感染因子で、B型肝炎ウイルスの助けを借りて、初めて感染が起こるという不完全なウイルスです。しかし、いったんかかると重症な肝炎になる危険がありますので要注意です。幸い、わが国ではこの型の肝炎はきわめてまれで、1991年までに20人足らずの患者さんが発見されているにすぎません。

【E型肝炎】

E型肝炎については、診断法が、まだ一般化されていませんので、患者発生状況の詳しいことはわかっていません。主として、東南アジアに多く発生しており、日本ではこの地域への旅行者が現地で感染(経口感染)し、帰国後に発病した患者さんの例がわずかですが報告されています。最近、外国旅行歴のない人でのE型肝炎発症例も報告されています。特に、シカ、イノシシ、豚などの生肉摂取後に発症する例のあることが知られています。

E型肝炎の経過は一般には良好で、完全に治癒します(インドでは、妊婦がこの型の肝炎にかかると死亡率が高いといわれています)。

急性肝炎の症状


急性肝炎の症状は、経過が異なる点を除けば、肝炎の型によって特に違うことはありません。

激しいだるさ、吐き気、高熱が特徴

それまで健康であった人が、急に激しいだるさ(全身倦怠感[ぜんしんけんたいかん])や食欲不振、吐き気を訴え、38℃くらいの高熱も出てきます。そのため、発病初期にはかぜ(感冒[かんぼう])と間違えられることがありますが、なんともいえないだるさやむかつきが著しい点がやや異なります。

そのほか、頭痛、筋肉痛や関節痛、下痢、皮膚の発疹[ほつしん]などがみられることがあります。

肝臓が急に腫れるため、上腹部に鈍痛があり、その部分を押すと痛み(圧痛)を感じます。

尿の色は褐色調が強くなり、黄疸[おうだん]がみられる時期にはさらにその濃さが増します。

黄疸[おうだん]が強く出るころは病気は最盛期

発病後1〜2週間たちますと、黄疸の程度は強くなりますが、自覚症状はむしろ軽快してきます。食欲も出てきますが、肝臓の病変はまだ最盛期ですので、絶対安静が必要です。