血栓性静脈炎[けつせんせいじようみやくえん]

血栓性静脈炎はからだのどの静脈にもみられますが、特に下肢[かし]によく起こります。静脈に血栓ができると炎症を伴うため、静脈血栓よりも血栓性静脈炎の診断名がよく使われます。

静脈に血栓ができるには、静脈壁の病変、静脈血流の遅延、血液成分の変化が挙げられていますが、下腹部などの手術後、下肢の骨折などの外傷後、分娩[ぶんべん]後、肥満、長期就床後などに発生しやすいものです。長時間の旅行でじっと座っているのも悪く、飛行機で外国旅行するときにみられるエコノミークラス症候群も下肢の静脈血栓症[じようみやくけつせんしよう]です。マスコミでも注目されて、増加しています。

特別の原因なしに健康人に発生する例も少なくありません。発生部位は上肢に比べて下肢に圧倒的に多く、特に左側下肢に多くみられます。

炎症があるときはふくらはぎの筋肉に自発痛、圧痛、腫れ、熱感が現れ、静脈もふくれてきます。重症なものでは下肢全体が赤く腫れ上がり、また圧迫のため動脈の血流も障害されて蒼白になることもあります。もっとも重症なものでは下肢が腐り始めます。また、血栓が静脈からはがれ、心臓を通って肺動脈にひっかかる肺塞栓[はいそくせん]も起こします。大きい塞栓では血液が肺に流れなくなり、死亡することもあります。循環器疾患によって突然死することが注目されていますが、心筋梗塞[しんきんこうそく]、大動脈解離[だいどうみやくかいり]とこの肺塞栓が3大死因です。深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)が恐ろしいのは急性肺動脈血栓塞栓症を起こすためです。